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【事務局長のつぶやき】高齢者は新人類、商品開発、組織構築のヒントが満載(2023年12月25日)

22日(木)に、本年度の応用脳科学アカデミーの最終講義(協賛企業様のテクニカルコースを除く)で、アドバンスコース2「脳を育む」の第6回最終回が開催され、筑波大・原田先生、一般社団法人社会的健康戦略研究所の浅野先生、そして神戸大・増本先生にご登壇頂きました。

当日のシラバスはこちら https://www.can-neuro.org/2023_advance_syllabus/#a2_6

最初の原田先生は「ワーキングシニアの心理・行動特性を知る」というタイトルでお話頂きました。「高齢者が使いやすいものは若者にも使いやすい」当たり前のことですが、多くの企業の研究開発実験では標準的な被験者を高齢者に置くことは少ないのですが、ユニバーサルデザインという観点からは、本来、ここにもっとフォーカスすべきなのではと感じました。原田先生はレトルトカレーのパッケージを例にメーカーが消費者に使いやすくと思って作るデザインが、実は高齢者はもちろん、若者でも間違えて開けてしまうみたいなお話は、自分自身も色々経験しているので、思わずうなずいてしまいました。記憶実験は、高齢者は午前中の方が成績は良く(朝型)、若者は午後がいい(夜型)という結果が出ており、それぞれの特性に合わせた実験計画を組まないと一概に高齢者は記憶が悪いとは言えない。ただし、高齢者は抑制機能が低下し、意思決定において選択肢を排除するのが苦手になってくるそうです。「高齢者は新人類」(秋山先生?)という言葉があるそうですが、まさにその通りですね。

原田 悦子先生の講義概要はこちら https://www.can-neuro.org/2023/a2_6_1_lecturer/

浅野先生は「健康経営から考えるワーキングシニアと健康経営の国際動向(ISO化)」というタイトルでご講義頂きました。ウェルビーイングの観点からは、高齢者が安全に仕事ができる就労環境を目指すのか、高齢者が安心して仕事ができる就労環境を目指すのか、どちらでしょう?前者はテクノロジー視点であり、後者がウェルビーイング視点であるとのこと。私たちはそうとわかっていても、ややもすると、いつのまにかテクノロジー視点になってしまいがちかもしれませんね。
日本は世界一の高齢国であり、課題先進国です。Ageing SocietiesのISO化は日本主導で進められていますが、これから子規格の制定準備等が進められる中、日本企業の意識は今一つであり、規格が決まったらそれに従えばいいという感覚なのでしょうか?もっと、積極的に規格作りに参画する方がいいいのではないでしょうか。これから間違いなく大きくなる市場においてイニシアチブをどれだけ取れるかにも大きく影響していくるのですが。。。CANとしては、この分野に積極的に関わっていきたいと考えています。

浅野 健一郎先生の講義概要はこちら https://www.can-neuro.org/2023/a2_6_2_lecturer/

最後は増本先生。「ワーキングシニアの心理行動特性:老いに適応するプロセス」についてお話を頂きました。内閣府の調査によれば、全国の60歳以上の男女で約60%が65歳以降も働きたいとしており、収入のある仕事をしている人は87%が65歳を超えても働きたいと考えている。仕事をしたいと思わない人はわずか1%にも満たないとのことです。しかし、日本の場合、国の制度も企業の制度の観点からもエイジズムを生みやすい構造になっており、色々な問題がありそうです。脳科学的に加齢によって変化しやすい脳部位としにくい脳部位があり、体力、記憶力等、必ずしも高齢者が劣っているということではないそうです。
加齢に伴う喪失に対処するためのプロセスとして選択最適化補償理論(SOC理論)というのがあり、選択(Selection)、最適化(Optimization)、補償(Compensation)というのがあるそうです。そのほか、記憶補助ツールとしてのITの使い方等々、興味深いお話がたくさんありました。

増本 康平先生の講義概要はこちら https://www.can-neuro.org/2023/a2_6_3_lecturer/

ラップアップでは、3人の先生方との意見交換ということでしたが、後半は、やはりこの分野の研究開発の応用にもっと日本は積極的に取組むべきであり、特に研究者の方々もISOの動向等をしっかりと理解して頂き、科学的エビデンスのある規格作りに積極的に関与してもらうといいのではないかということから、事務局の萩原が勝手に(やや強引に)、原田先生が取り組まれている国プロでの研究や増本先生が取り組まれている自治体との研究の成果を浅野さんが取り組まれている健康経営のISOのお話と結び付けて話をクロージングしました。三人の先生方、ごめんなさい!(苦笑)

CAN会員の方で受講できなかった方は、ラップアップミーティングを除き、後日オンデマンドで視聴できますので、ぜひ視聴して確認ください!

2023年度 アドバンスコース シラバス

 

 

 

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