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応用脳科学アカデミー

     

2024年度

錯覚の効果と情報提示技術への応用:雨宮 智浩(東京大学 情報基盤センター 教授)

ヒトが外界から受ける感覚情報を処理するとき、刺激を感覚器官によって受容し、それらを総合的に意味づけし、経験や記憶に基づいて解釈をおこなう過程を経ます。五感情報ディスプレイはこうした感覚情報の流れを修飾し、編集するものであ...

自己を表象する脳の仕組み:中野 珠実(大阪大学 脳情報通信融合研究センター 教授)

 人間にとって「自分の顔」は、感情を表出し、合図をだす以上の意味を持つ。他者から認識されるための、いわば「身体の名刺」のような機能を持つ。さらに、鏡や写真を通じて自分の顔を知ってしまった我々は、他者の目に映る自分の姿を強...

企業におけるELSI対応 自動車技術開発における生命倫理の例をもとに:本澤 養樹(滋賀医科大学 社会医学講座 客員教授)

 高度運転支援(自動運転)をはじめAIを基盤とする自動車の技術が実用段階に近づいています.これらの技術は時にドライバーの認知,判断,行動に直接,間接的に介入する必要があり,HMI(Human-Machine Interf...

『美と価値:ヘドニアとユーダイモニア』:石津 智大(関西大学 文学部 心理学専修 教授)

わたしたちの毎日を豊かに彩る感性と芸術。一見、脳科学とは遠くはなれた領域に思えますが、知覚の探求と精神のはたらきにかかわろうと試みている点では、脳科学とおなじ目的を共有し、深い関係性があると言えます。神経美学とは、認知神...

運動の誤差を減らす脳の仕組み:井上 雅仁(国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT) 未来ICT研究所 脳情報通信融合研究センター (CiNet) 主任研究員)

 運動がうまくなるには練習が欠かせない。それは運動の「誤差」を減らすように脳が「学習」するからである。この運動の誤差を減らす学習には小脳が重要であることが知られている。この小脳には運動誤差を知らせる信号が届いていると考え...

イノベーションを支えるデータ倫理規範:横野 恵 (早稲田大学 社会科学部 准教授 )

 さまざまな分野で,パーソナルデータをはじめとした大量のデジタルデータを流通させ,利活用してイノベーションを創出することが期待されています。一方で,データの取り扱いの拡大に伴い,データ利用にかかわる倫理的・社会的問題も顕...

学習/知的障害の実際とパフォーマンスを発揮するための支援方法:坂井 聡(香川大学教育学部 特別支援教育 教授)

障害があるということはどういうことなのかをまず社会モデルで確認したい。これまでは「主流」に近づけるための教育がなされていた。しかし、多様な人たちが共生するためには「主流」に近づけるという教育ではうまくいかない。それは、訓...

生存戦略としての音楽の美と快:本田 学(国立精神・神経医療研究センター 神経研究所疾病研究第七部 部長)

西洋音楽では、オーケストラや合唱団など、演奏者が指揮者に合わせて演奏するスタイルが一般的である。一方、日本を含む地球上の多くの文化圏では、指揮者やメトロノームのような視覚的な基準なしに、複数の演奏者同士が「阿吽の呼吸」や...

デジタル脳とは何か、どう作りどう使うのか:銅谷 賢治(沖縄科学技術大学院大学 神経計算ユニット 教授)

日本の大型脳科学プロジェクト「革新脳・国際脳」が2024年3月に終了し、その後継として「脳神経科学統合プログラム」が6年間のプロジェクトとしてスタートした。その大きな特徴は、マウスからヒトまで異なる種の脳の構造、遺伝子、...

情報の多様な受け取り方を脳情報からとらえる:井原 綾(国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT) 未来ICT研究所 脳情報通信融合研究センター(CiNet) 脳機能解析研究室 主任研究員)

 同じ情報でも、人によって受け取り方に違いが生じます。ある人にとっては理解しやすい情報が、他の人には難しいものであることもありますし、ある状況が快適な人もいれば、ストレスに感じる人もいます。さらに、個人のその時々の状態に...