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応用脳科学アカデミー

2025年度

障がい者から学ぶヒト脳の多様性と可能性:中西 智也(NTTデータ経営研究所 ライフ・バリュー・クリエイションユニット シニアコンサルタント)

近年の脳科学研究は、人間の脳に対する理解を大きく変えた。脳の構造や機能、神経ネットワークは一人ひとり異なり、「平均」や「定型」は存在しない。これが「ニューロダイバーシティ」の核心である。
本講義では、脳科学の最新知見に基づき、障がいのある方々の脳が示す驚くべき多様性と可能性を探る。障がいはネガティブな事象ばかりではなく、むしろ脳の持つ適応能力(可塑性・代償的適応)を引き出すトリガーとなりうることを解説する。その結果、健常者とは異なるユニークな能力や強みが発揮される事例は多い。義足のアスリート、視覚障がい者、発達障がい者など、脳の適応を生じさせた実例を紹介する。
しかし、社会には未だ「障がい=弱い、できない」という偏見や画一的な見方が根強く存在する。これは個人の可能性を狭めるだけでなく、社会全体の損失である。高い集中力や巧緻性、独自の感性といった障がい特性が、ものづくり、芸術、農業、サービス業など様々な分野で新たな価値を生み出している事実にも目を向けるべきである。
本講義を通じて、脳の多様性への理解を深め、無意識の偏見を取り払う。そして、一人ひとりの個性が尊重され、誰もがその能力を最大限に発揮できるインクルーシブな社会をどう築いていくべきか、その具体的な視点とヒントを提供する。

講師

中西 智也 先生
株式会社NTTデータ経営研究所 ライフ・バリュー・クリエイションユニット シニアコンサルタント

講義:オンデマンド配信

お問い合せ先

本講義に関するご質問等は、「各種お問い合わせフォーム」より、お問い合わせください。

講師紹介

中西 智也(なかにし ともや)先生

現職

  • 株式会社NTTデータ経営研究所 ライフ・バリュー・クリエイションユニット シニアコンサルタント
  • 福島県立医科大学 非常勤講師

経歴

2022年4月 – 現在 NTTデータ経営研究所, シニアコンサルタント
2019年4月 – 2022年3月 日本学術振興会 特別研究員(DC1)
2018年12月 – 2021年7月 慶應義塾大学 医学部精神神経科 特任研究員
2017年4月 – 2018年3月 東京大学教養学部 ティーチングアシスタント
2015年4月 – 2017年3月 BodyPioneer株式会社 理学療法士
2013年4月 – 2015年3月 医療法人社団永生会永生病院 理学療法士

研究概要

専門分野: リハビリテーション科学、スポーツ科学、神経科学一般、社会心理学 (DE&I関連)。
研究キーワード: ニューロイメージング、運動制御、リハビリテーション科学、スポーツ科学、神経生理学、神経科学。
概要: 脳機能イメージング(ニューロイメージング)や神経生理学的手法を用いて、運動制御のメカニズムやリハビリテーションに伴う脳の神経可塑性を研究。特に、障がいのある方(パラアスリート等)の脳機能適応や、精神疾患における脳機能に関心を持つ。近年は、DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の観点から、脳科学の知見を応用した社会課題解決や人材戦略にも取り組む。

主な業績

  • Neurorehabilitation and Neural Repair, Neuroscience and Biobehavioral Reviews, Frontiers in Neuroscience, NeuroImage: Clinical, Experimental Brain Research, 理学療法学 など、神経科学、リハビリテーション、理学療法分野の主要な学術誌に筆頭著者・共著者として多数の論文を発表。
  • 日本理学療法士学会 優秀論文表彰、日本義肢装具学会学術大会 学生最優秀演題賞、日本神経理学療法学術集会 優秀賞、東京大学大学院 総合文化研究科広域科学専攻 奨励賞など、複数の受賞歴を持つ。
  • 書籍『アスリートのためのトータルコンディショニングガイドライン』、『発達障害白書』等の分担執筆。
  • 研究成果は日本経済新聞、東京新聞、産経新聞など、複数のメディアで報道されている。

             

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