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応用脳科学アカデミー

アドバンス 2021年度

うつ病:その対処と治療から脳科学まで:加藤 忠史(順天堂大学 医学部精神医学講座 主任教授)

うつ病、という言葉は広く知られていますが、「うつ病とは何か?」と議論し始めると、専門家の間でも議論が起きるかも知れません。本当は心理的反応として捉えるべきケースでも、症状の表面だけでうつ病と診断されてしまう可能性もありますし、うつ病と診断される人は、不安定なパーソナリティーを基盤として、手首自傷などに至るようなケースから、高齢で脳動脈硬化に伴って生じているケースまで、非常に多様です。現在、うつ病は、症状・経過により診断されており、決め手になる検査法が存在しないため、身近な人がうつ病になった時にどう対応すべきかもなかなかわかりにくいと思います。うつ病は、軽症であれば、受容的精神療法、病状説明、休養などでも改善する可能性がありますが、中等症以上では通常抗うつ薬により治療します。しかし、抗うつ薬の効果発現には数週間から数ヶ月を要し、復職までに1年程度を要することも少なくありません。本講義では、うつ病とは何か、うつ病への対処法、そしてうつ病の原因と最近の脳科学の知見について解説します。

講師

加藤 忠史 先生
順天堂大学 医学部精神医学講座 主任教授

日時

2021年11月2日(火)13:00~17:30(12:40より受付開始)
※加藤先生の講義は、14:20~15:30です。

場所

NTTデータ経営研究所 セミナールーム

入館方法

JA共済ビルのエントランスフロアで受付を済ませてから、左側のエレベーターにて9階までお越しください。9階に着きましたら、片側のガラス越しに社名が掲示されています。そちら側よりご入室いただきますと、右側奥に応用脳科学アカデミー受付(臨時設置)がございます。

お問い合せ先

本アカデミーに関するご質問等は、「各種お問い合わせフォーム」より、お問い合わせください。

講師紹介

加藤 忠史(かとう ただふみ)先生

現職

  • 順天堂大学 医学部精神医学講座 主任教授

経歴

  • 1988年 東京大学医学部附属病院精神神経科 医員(研修医)
  • 1989年 滋賀医科大学付属病院精神科 助手
  • 1995年 アイオワ大学精神科(文部省在外研究員)
  • 1997年 東京大学医学部附属病院精神神経科 助手 
  • 1999年 東京大学医学部附属病院精神神経科 講師
  • 2001年 理化学研究所 脳科学総合研究センター(2018年より脳神経科学研究センター) 精神疾患動態研究チーム チームリーダー
  • 2018年~2020年 東京大学大学院医学系研究科機能生物学専攻脳機能動態学連携講座教授
  • 2019~2020年 理化学研究所 脳神経科学研究センター 副センター長
  • 2020年4月 順天堂大学医学部精神医学講座主任教授

研究概要

双極性障害(躁うつ病)の原因を解明し、診断法・治療法を開発することを目指して、研究を進めています。双極性障害の解明は、うつ病の診断・治療のためにも急務であり、気分制御の神経生物学的メカニズムの解明にもつながります。そのため、動物モデル、細胞モデル、死後脳などを用いて、ゲノミクスや神経科学の最新手法により、基礎と臨床を統合した研究を進めています。現在は特に気分障害における視床室傍核の役割にも注目して研究を進めています。

主な業績

  • Sawada T, Chater TE, Sasagawa Y, Yoshimura M, Fujimori-Tonou N, Tanaka K, Benjamin KJM, Paquola ACM, Erwin JA, Goda Y, Nikaido I, Kato T* (in press). Developmental excitation-inhibition imbalance underlying psychoses revealed by single-cell analyses of discordant twins-derived cerebral organoids. Molecular Psychiatry
  • Kato TM, Kubota-Sakashita M, Fujimori-Tonou N, Saitow F, Fuke S, Masuda A, Itohara S, Suzuki H, Kato T* (2018). Ant1 mutant mice bridge the mitochondrial and serotonergic dysfunctions in bipolar disorder. Molecular Psychiatry 23: 2039–2049.
  • Takata A, Matsumoto N, Kato T (2017) Genome-wide identification of splicing QTLs in the human brain and their enrichment among schizophrenia-associated loci. Nature Communications 8: 14519
  • Kasahara T*, Takata A*, Kato TM*, Kubota-Sakashita M, Sawada T, Kakita A, Mizukami H, Kaneda D, Ozawa K, Kato T(*co-first authors) (2016) Depression-like Episodes in Mice Harboring mtDNA Deletions in Paraventricular Thalamus. Molecular Psychiatry, 21: 39-48
  • Kataoka M, Matoba N, Sawada T, Kazuno AA, Ishiwata M, Fujii K, Matsuo K, Takata A, Kato T (2016) Exome sequencing for bipolar disorder points to roles of de novo loss-of-function and protein-altering mutations. Molecular Psychiatry 21: 885-93.
  • Hou L,–Kato, T. (112 of 123 authors), —— McMahon, F.J.*, Schulze, T.G. (2016) Genetic variants associated with response to lithium treatment in bipolar disorder: a genome-wide association study. Lancet, 38: 1085-1093
  • Bundo M, Toyoshima M, Okada Y, Akamatsu W, Ueda J, Nemoto-Miyauchi T, Sunaga F, Toritsuka M, Ikawa D, Kakita A, Kato M, Kasai K, Kishimoto T, Nawa H, Okano H, Yoshikawa T, Kato T, Iwamoto K (2014) Increased L1 retrotransposition in the neuronal genome in schizophrenia. Neuron 81: 306-313
  • Iwamoto K, Bundo M, Ueda J, Oldham MC, Ukai W, Hashimoto E, Saito T, Geschwind DH, Kato T (2011) Neurons show distinctive DNA methylation profile and higher interindividual variations compared with non-neurons. Genome Research 21: 688-696
  • Iwamoto K, Bundo M, Kato T (2005) Altered expression of mitochondria-related genes in postmortem brains of patients with bipolar disorder or schizophrenia, as revealed by large-scale DNA microarray analysis. Human Molecular Genetics 14: 241-253
  • Kakiuchi C, Iwamoto K, Ishiwata M, Bundo M, Kasahara T, Kusumi I, Tsujita T, Okazaki Y, Nanko S, Kunugi H, Sasaki T, Kato T (2003) Impaired feedback regulation of XBP1 as a genetic risk factor for bipolar disorder. Nature Genetics 35: 171-175

             

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