【事務局長のつぶやき】認知バイアス・マインドフルネス・自然セラピー(2023年12月20日)
19日(火)に応用脳科学アカデミーアドバンスコース1「脳と健康」の第3回最終回が開催され、量子科学技術研究開発機構・山田先生、NTTコミュニケーション科学基礎研究所・藤野先生、そして千葉大・宮崎先生にご登壇頂きました。
当日のシラバスはこちら https://www.can-neuro.org/2023_advance_syllabus/#a1_3
山田先生は「認知バイアスから見た脳とこころのメカニズム」というタイトルでお話頂きました。山田先生はムーンショット目標9で「逆境の中でも前向きに生きられる社会の実現」のPMをされています。一般的に、バイアスはネガティブな印象を受けますが、バイアスは生きていくために必要な機能です。とりわけ、健常な心に備わっている3つのイリュージョン(優越の錯覚、楽観主義バイアス、コントロールの錯覚)があるからこそ、日々私たちはポジティブに生活できるということです。ポジティブ思考は心の健康と密接に関わっています。
講義の最後には、量子認知研究という新しい?認知科学分野の研究についても少し触れて頂きました。個人的には、最後の部分をもっと聞きたかったのですが。。。
山田 真希子先生の講義概要はこちら https://www.can-neuro.org/2023/a1_3_1_lecturer/
藤野先生は「マインドフルネスから考える新しいテクノロジー」というタイトルで、マインドフルネスとは何か、その歴史的発展の経緯、マインドフルネス瞑想、最後にマインドネスをサポートするテクノロジーについてもお話頂きました。マインドフルネス瞑想は欧米のグローバル企業や国連でも導入または推奨されており、組織単位での取組みという点では日本より進んでいるのかもしれませんね。集中瞑想と洞察瞑想の話も興味深かったです。とりわけ、洞察瞑想の技法は、私たちが日常置かれている情報過多の環境において、非常に重要なように感じました。また、自動運転、ロボット制御等にもこの考え方が重要なのかもしれませんね。
最後にマインドフルネステクノロジーの話が少しありました。これからの技術ですが、意外に応用範囲は広いかなという印象を受けました。
藤野 正寛先生の講義概要はこちら https://www.can-neuro.org/2023/a1_3_2_lecturer/
最後は宮崎先生。今年度のアドバンスコース「脳と健康」の最後の講義で、「自然セラピー~生体調整効果と個人差」についてお話を頂きました。今回は、とりわけ宮崎先生の造語とおっしゃっていましたが「生体調整効果」のお話、また人間を計測する際に重要な「個人差」について実例をベースにお話を頂きました。実験前の拡張期血圧や交感神経活動(LF/HF)をしっかりと個人ごとに計測しておくことで、実験後の拡張期血圧のばらつきが単なるばらつきではなく、生体調整効果と呼ばれるある種の傾向が見えてくることを示し、実験研究における個人差の把握の重要性を示してくださいました。
宮崎 良文先生の講義概要はこちら https://www.can-neuro.org/2023/a1_3_3_lecturer/
ラップアップでは、ちょっと私の関心に偏ってしまったかもしれませんが、一人ひとり無意識に持っているバイアスの種類、強さが日々の私たちの生活にどう影響を及ぼすのか(例えば、ストレスの度合い等)、それを知るため、バイアスを上手に使いこなす?ためのマインドフルネス的アプローチ、さらに、自然が持っている治癒効果がどう影響しうるのか、そこに個人差がどう影響してくるのか、色々と先生方のお考えをお聞きすることができました。
CAN会員の方で受講できなかった方は、ラップアップミーティングを除き、後日オンデマンドで視聴できますので、ぜひ視聴して確認ください!