「障がい者の経済学:企業戦略としてのインクルージョンを考える」:中島 隆信(慶応義塾大学商学部 教授)
日本では企業に対して常用労働者の一定割合の障害者雇用が義務づけられており、この割合は2026年に2.7%まで引き上げられることが決定している。つまり日本企業の多くは、厚労省から尻を叩かれる形で障害者雇用を進めてきたといえる。そこで問題となるのは、障害者を雇用するために求められる配慮をコストとみなしてしまうことから障害者雇用に後ろ向きになってしまうことである。私たちは、障害の有無に関係なく気持ちよく働ける環境を作ることが、多彩な人材から構成される変化に強い組織につながるための投資であることに気づく必要がある。そして、そうした投資を特定の人間、部署、企業だけに押しつけるのではなく、社会全体で行う価値があるという意識を持たなければならない。
講師
中島 隆信 先生
慶応義塾大学商学部 教授
日時
2023年10月18日(水)13:00~17:30(12:40より受付開始)第1部 13:00~14:10
当日の全体スケジュールはこちらをご覧ください。
場所
オンライン(Zoom)
お問い合せ先
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講師紹介
中島 隆信 (なかじま たかのぶ)先生
現職
- 慶応義塾大学商学部 教授
経歴
1985年 日本銀行金融研究所客員研究生(1987年まで)
1989年 慶應義塾大学商学部助手
1991年 同助教授
2001年 慶應義塾大学商学部教授(2007年7月まで)
2007年 内閣府大臣官房統計委員会担当室長(2009年3月まで)
2009年 慶應義塾大学商学部教授
研究概要
人文・社会 / 経済政策 (応用経済学)
経済学の理論を現実の経済現象に当てはめ,インプリケーションを導き出すことに関心を持っている。分析対象は限定していない。
主な業績
<編著書>
『お寺の行動経済学』(東洋経済新報社,2023年)
『「笑い」の解剖』(慶應義塾大学出版会, 2019年)
『新版 障害者の経済学』(東洋経済新報社,2018年)
<論文>
- 「人口減少下における望ましい移民政策 -外国人受け入れの経済分析をふまえての考察-」、独立行政法人経済産業研究所ディスカッションペーパーシリーズ14-J-018、2014年(萩原里紗氏との共著)
- “Returns to scale: conceptestimation and analysis of Japan’s turbulent 1964-88 economy” Canadian Journal of Economics, vol.44 No.2, pp.451-4852011.(with E. Diewert, A. Nakamura, E. Nakamura, and M. Nakamura)
- “Measurement of the Market Power of Firms: the Japanese Case in the 1990s,” Industrial and Corporate Change, 2009.(with K. Nishimura and K. Kiyota)
- 「サービス産業の生産性」、『マクロ経済と産業構造』所収、内閣府経済社会総合研究所、2009年
<受賞歴>
2001年 『日本経済の生産性分析』にて義塾賞(慶應義塾大学)
2006年 『障害者の経済学』にて日経経済図書文化賞(日本経済新聞社、日本経済研究センター)