ヒトの運動機能向上支援システムの開発:平島 雅也(情報通信研究機構 (NICT) 未来ICT研究所 脳情報通信融合研究センター 脳情報通信融合研究室)
ヒトの運動の解析に用いる筋骨格モデルは1990年頃に開発されて以来、スポーツ、リハビリテーション、整形外科、人間工学、アニメーションなど幅広い学問・産業分野で利用されてきた。しかし、従来の筋骨格モデルは筋のボリュームが無視されているため、特定個人を忠実に再現できず、個人を対象としたサービスへの展開はほとんど行われてこなかった。本講義では、筋のボリュームを考慮した次世代筋骨格モデルDef Muscleの開発や、その応用可能性について解説する。
運動制御・学習の研究、特に計算論的研究においては、比較的シンプルで扱いやすい腕到達動作が研究対象とされてきたが、日常生活動作のパフォーマンス向上技術を開発するためには、より多くの自由度・冗長性を動員して行われる動作を対象とした実験系の構築が必要である。本講義では、これまで腕到達動作を対象に行われてきた厳密な仮説検証のパラダイムを歩行動作でも行える実験系の構築とそのリハビリへの応用可能性について言及する。
講師
平島 雅也 先生
情報通信研究機構 (NICT) 未来ICT研究所 脳情報通信融合研究センター 脳情報通信融合研究室
日時
2023年10月13日(金)13:00~17:30(12:40より受付開始)第3部 15:40~16:50
当日の全体スケジュールはこちらをご覧ください。
場所
オンライン開催
お問い合せ先
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講師紹介
平島 雅也(ひらしま まさや)先生
現職
- 情報通信研究機構 (NICT) 未来ICT研究所 脳情報通信融合研究センター 脳情報通信融合研究室
- 大阪大学大学院生命機能研究科 招へい准教授
経歴
- 2000 東京大学教育学部卒
- 2005 東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了、博士(学術)取得
- 2005 東京大学大学院情報理工学系研究科(日本学術振興会特別研究員PD、学術研究支援員)
- 2007 東京大学大学院教育学研究科(日本学術振興会特別研究員PD、助教)
- 2014.8- 情報通信研究機構(主任研究員)
研究概要
人間の運動機能解析や向上に資するヒト筋骨格モデルを開発するとともに、行動実験による運動制御・学習メカニズムの解明、およびそこで明らかになった知見を活用した運動パフォーマンス向上技術の開発を目指している。
主な業績
- Takagi A, Hirashima M, Nozaki D, Burdet E. Individuals physically interacting in a group rapidly coordinate their movement by estimating the collective goal. eLife. 2019; 8:e41328.
- Takiyama K, Hirashima M, and Nozaki D. Prospective errors determine motor learning. Nature Communications. 2015; 6:5925.
- Hirashima M and Nozaki D. Distinct motor plans form and retrieve distinct motor memories for physically identical movements. Curr Biol. 2012; 22(5):432-436.
- Hirashima M and Nozaki D. Learning with slight forgetting optimizes sensorimotor transformation in redundant motor systems. PLoS Comput Biol. 2012; 8(6):e1002590.
- Hirashima M et al. Kinetic chain of overarm throwing in terms of joint rotations revealed by induced acceleration analysis. J Biomech. 2008; 41(13):2874-2883.
- 平島雅也 運動解析装置および運動解析方法 国内特許 特許第6614645号 2019
- 平島雅也・薗田拓哉・近田彰治 モデル解析装置、モデル解析方法、およびモデル解析プログラム 国内特許 特願2018-063617 2018
- 平島雅也・薗田拓哉 運動解析装置 国内特許 特願2018-086037 2018