脳科学の倫理:佐倉 統 (東京大学大学院 情報学環 教授)
脳神経科学に関する倫理的問題が、しばしば注目されるようになっています。その背景には、脳神経科学を応用した技術や製品開発が増え、社会的な関心を集めていることと同時に、それらによって、人格の改変や読心技術など、倫理的に問題のある事態が生じるのではないかという懸念が高まっているという事情があります。脳神経科学は、脳という、人格に直結する器官を扱うだけに、今までの生命倫理や医療倫理だけでは対応できないさまざまな問題が生じています。この講義では、民間企業が脳科学を産業分野に応用する際に知っておくべき脳神経倫理の基本について、最近の研究事例などの紹介を交えて解説します。
今回は前半にて講義、後半にてディスカッションを行います。
講師
佐倉 統 先生
東京大学大学院 情報学環 教授
日時
2021年6月30日(水)13:00~17:30(12:40より受付開始)
※佐倉先生の講義は、13:00~14:10です。
場所
オンライン開催
お問い合せ先
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講師紹介
佐倉 統 (さくら おさむ)先生
現職
- 東京大学大学院 情報学環 教授
経歴
- 1980年 東京大学文科三類入学 文学部心理学科 進学
(長谷川寿一の後輩として霊長類学、行動生態学を学ぶ) - 1985年 京都大学大学院理学研究科入学
(京都大学霊長類研究所で河合雅雄と杉山幸丸のもとで霊長類学を学ぶ) - 1990年 京都大学大学院理学研究科博士課程単位取得退学(1992年理学博士)
- 1990年 三菱化成生命科学研究所でポスドク(米本昌平のもとで環境倫理学を学ぶ)
- 1993年 横浜国立大学経営学部助教授
- 1995年~1996年 フライブルク大学情報社会研究所客員研究員
- 2000年 東京大学大学院情報学環助教授
- 2007年~ 同教授 (2015年4月~2018年3月 同学環長)
- 2017年~ 理化学研究所 革新知能統合研究センター チームリーダー
研究概要
専攻は進化生物学だが、最近は科学技術と社会の関係についての研究考察がおもな研究領域である。人類進化の観点から、脳科学を含めた人間の科学技術を再定位することを目指している。
主な業績
- 主な著書に、
- 『人と「機械」をつなぐデザイン』(東京大学出版会)
- 『「便利」は人を不幸にする』(新潮選書)
- 対談集『科学の横道』(中公新書)
- 『おはようからおやすみまでの科学』(ちくまプリマー新書)
- 『進化論という考えかた』(講談社現代新書)
- 『わたしたちはどこから来てどこに行くのか?』(中公文庫)
- 『現代思想としての環境問題』(中公新書)
- 『進化論の挑戦』(角川書店)
などがある。
所属学会は
- 科学技術社会論学会
- 動物行動学会
- 国際生物学史学会
- 国際脳神経倫理学会
- 日本神経科学学会
など。