実験消費者心理学:有賀 敦紀(中央大学 文学部 教授)
消費者の知覚や記憶、選好や意思決定は人間の認知プロセスそのものであるため、消費者行動を科学的に理解するためには認知心理学的アプローチが有用である。本講義では、まず認知心理学の基本的考え方を解説し、消費者の認知特性を考慮した情報提示について提案する。その後、消費者の潜在的プロセスに焦点を当てた実証研究を紹介する。具体的には、(1)潜在的プロセスの測定方法 (2)顕在的プロセスと潜在的プロセスの乖離 (3)実験室とフィールド間での研究結果の相違 といったテーマを中心に扱う。本講義を通して、研究対象としての消費者行動、および社会貢献のためのツールとしての消費者行動の可能性を議論したい。
講師
有賀 敦紀 先生
中央大学 文学部 教授
日時
2023年8月23日(水)13:00~17:30(12:40より受付開始)第1部 13:00~14:10
当日の全体スケジュールはこちらをご覧ください。
場所
オンライン(Zoom)
お問い合せ先
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講師紹介
有賀 敦紀(ありが あつのり)先生
現職
- 中央大学 文学部 教授
経歴
- 2009年 東京大学大学院人文社会系研究科 博士(心理学)取得
- 2009年 日本学術振興会海外特別研究員
- 2009年 イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校 客員研究員
- 2011年 立正大学心理学部 専任講師
- 2014年 立正大学心理学部 准教授
- 2016年 広島大学大学院総合科学研究科 准教授
- 2020年 広島大学大学院人間社会科学研究科 准教授
- 2022年 中央大学文学部 教授(現在に至る)
研究概要
認知心理学を専門とし,主に実験的手法によって人間の認知行動の解明を目指しています。具体的には,視覚意識の基盤となる情報選択過程,人間の社会性を支える心の基本的メカニズム,選好や意思決定にかかわる潜在的プロセスなどを研究テーマとしています。最近では,消費者の商品選択や魅力評価,意思決定などに注目し,現実場面で消費者の行動を規定する様々な要因について,心理学およびマーケティングの視点から検討しています。
主な業績
- 有賀敦紀 (2023). パッケージデザインに基づく重さの推定と知覚 マーケティングジャーナル, 42, 17-26.
- Ichimura, F., Moriwaki, M., & Ariga, A. (2021). Romantic bias in judging the attractiveness of faces from the back. Journal of Nonverbal Behavior, 45, 339-350.
- Jiang, Q., & Ariga, A. (2020). The sound-free SMARC effect: The spatial–musical association of response codes using only sound imagery. Psychonomic Bulletin & Review, 27, 974-980.
- Ariga, A., & Saito, S. (2019). Spatial-musical association of response codes without sound. Quarterly Journal of Experimental Psychology, 72, 2288-2301.
- Tsegmed, O., Taoka, D., Jiang, Q., & Ariga, A. (2019). Implicit attitudes about agricultural and aquatic products from Fukushima depend on where consumers reside. Frontiers in Psychology, 10: 515.
- Ariga, A. (2018). Reading habits contribute to the effects of display direction on product choice. PLOS ONE, 13(12): e0209837.
- 有賀敦紀 (2016). 拡張的パーソナルスペース:所持品間の距離に反映される所有者の対人距離 心理学研究, 87, 186-190.
- 有賀敦紀・井上淳子 (2013). 商品の減少による希少性の操作が消費者の選好に与える影響 消費者行動研究, 20, 1-12.
- Ariga, A., & Lleras, A. (2011). Brief and rare mental “breaks” keep you focused: Deactivation and reactivation of task goals preempt vigilance decrements. Cognition, 118, 439-443.