脳の自由エネルギー原理:背景と応用:島崎 秀昭(北海道大学 人間知・脳・AI研究教育センター 特任准教授)
本講演では脳の自由エネルギー原理が形成されてきた歴史的背景を,それを支える主要な実験結果や他分野との関わりとともに紹介する.自然刺激への適応に基づく古典的な認識の理論から,外界のモデルを脳の中に持つとするベイズ脳仮説,そして環境に対する働きかけを推論の枠組みに取り入れ認識と行動の統一的理解を目指す自由エネルギー原理.これらがどのような実験事実に基づき(あるいは基づかず)構築され,情報理論・機械学習・統計物理といった他分野とどのような関わりのなかで発展してきたかを解説し,ロボティクス・AIの応用研究に今後どのように繋がっていくのか展望を述べる.
講師
島崎 秀昭 先生
北海道大学 人間知・脳・AI研究教育センター 特任准教授
日時
2022年9月9日(金)13:00~17:30(12:40より受付開始)
※島崎先生の講義は、13:00~14:10です。
場所
入館方法
JA共済ビルのエントランスフロアで受付を済ませてから、左側のエレベーターにて9階までお越しください。応用脳科学アカデミーの案内看板が掲示されています。
そちら側よりご入室いただきますと、右側奥に応用脳科学アカデミー受付(臨時設置)がございます。
お問い合せ先
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講師紹介
島崎 秀昭(しまざき ひであき)先生
現職
- 北海道大学 人間知・脳・AI研究教育センター 特任准教授
経歴
- 2016年04月 – 2020年03月 ホンダ・リサーチ・インスティチュート・ジャパン シニアサイエンティスト
- 2017年04月 – 2020年03月 京都大学 大学院情報学研究科 知能情報学専攻 特定准教授
- 2020年04月 – 現在 北海道大学 人間知・脳・AI研究教育センター 特任准教授
- 所属学協会:日本神経科学学会 日本神経回路学会
研究概要
物理学・統計学・機械学習の技術を用いた神経活動データ解析と計算理論構築を両輪に,生物の知性に迫る研究を行なっている.
主な業績
書籍
『神経符号化』島崎秀昭 (担当:分担執筆). 脳科学辞典編集委員会 2021年08月
神経符号化とは、外界の刺激が神経活動に変換・表現され、行動を担う神経活動が生成される過程を指す。刺激・行動と神経活動の関係を記述し、刺激の認識や行動生成を担う神経活動とその機構を同定することで、この過程を明らかにする研究を神経符号化研究(neural coding studies)という。同定された神経活動・機構を神経符号(neural code)と呼ぶ。
Dynamic Neuroscience: Statistics, Modeling, and Control. Ed. Zhe Chen, Sridevi Sarma (担当:分担執筆範囲:Chapter 11: Neural Engine Hypothesis). Springer, Cham 2018年01月 (ISBN: 9783319719757) 328 267-291
『カンデル神経科学』金澤一郎, 宮下保司, Eric R. Kandel, James H. Schwartz, Steven A. Siegelbaum, Thomas M.Jessell, A. J. Hudspeth (担当:単訳範囲:付録F:神経科学への理論的アプローチ:単一ニューロンからネットワークまで). 金澤一郎, 宮下保司. メディカルサイエンスインターナショナル 2014年04月 (ISBN: 4895927717) 1696