感謝を科学する:NAWA Norberto Eiji(国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)未来ICT研究所脳情報通信融合研究センター脳機能解析研究室 主任研究員)
近年、広義に良好な状態を意味するWell-beingが、健康状態から個人の生産性に至るまで、多岐にわたる側面と密接に関連していることが多く報告されています。ポジティブ心理学研究では、日常生活の様々な場面で現れる感謝感情がWell-beingを向上させる方法として早期から注目を集めてきました。しかしながら、その効果がどのような条件下で実現されるのか、またその根底にある心理生物学的メカニズムについては、まだ十分に解明されていません。本講義では、これまでの感謝感情に関する研究報告を解説し、現在CiNetで進めている最新の研究を紹介します。
本講義に関連する文献
- N. E. Nawa, and N. Yamagishi. Distinct associations between gratitude, self-esteem, and optimism with subjective and psychological well-being among Japanese individuals, BMC Psychology, 12, 130, 2024.
- Y. Monno, N. E. Nawa and N. Yamagishi. Duration of mood effects following a Japanese version of the mood induction task, PLoS ONE,19(1): e0293871, 2024.
- N. E. Nawa, and N. Yamagishi. Enhanced academic motivation in university students following a 2-week online gratitude journal intervention. BMC Psychology, 9, 71, 2021.
- N. E. Nawa, E. E. Nelson, D. S. Pine, and M. Ernst. Do you make a difference? Social context in a betting task. Social Cognitive and Affective Neuroscience, 3(4):367–376, 2008.
講師
NAWA Norberto Eiji 先生
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)未来ICT研究所脳情報通信融合研究センター脳機能解析研究室 主任研究員
日時
2024年09月20日(金)13:00~17:30(12:40より受付開始)第3部 15:40~16:50
当日の全体スケジュールはこちらをご覧ください。
場所
オンライン開催(Zoom)
お問い合せ先
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講師紹介
NAWA Norberto Eiji 先生
現職
- 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)未来ICT研究所脳情報通信融合研究センター脳機能解析研究室 主任研究員
- 大阪大学大学院生命機能研究科 招へい准教授
経歴
- 1999年-2003年 株式会社国際電気通信基礎技術研究所 (ATR) 研修研究員
- 2003年 京都大学大学院情報学研究科システム科学専攻 修了 博士(情報学)
- 2003年-2009年 株式会社国際電気通信基礎技術研究所 (ATR) 研究員
- 2006年-2009年 情報通信研究機構(NICT) ユニバーサルコミュニケーション研究所 研究員(出向)
- 2009年-2016年 情報通信研究機構(NICT) ユニバーサルコミュニケーション研究所 研究員
- 2013年-2016年 情報通信研究機構(NICT) 脳情報通信融合研究センター(CiNet) 研究員 (兼務)
- 2016年 現職
- 2013-2020 大阪大学大学院生命機能研究科 招へい教員
- 2020-現在 大阪大学大学院生命機能研究科 招へい准教授
研究概要
我々は日常生活の中で、様々な場面においてあらゆる感情を体験しながら日々を送っています。感情は記憶や注意のような基本的な認知機能から、人の動機付けやウェルビーイングまでに大きな影響を与えると考えられています。我々はCiNetでは、様々な手法を活用して感情、とりわけポジティブ感情について研究を進めています。
主な業績
- N. E. Nawa, and N. Yamagishi. Distinct associations between gratitude, self-esteem, and optimism with subjective and psychological well-being among Japanese individuals, BMC Psychology, 12, 130, 2024.
- Y. Monno, N. E. Nawa and N. Yamagishi. Duration of mood effects following a Japanese version of the mood induction task, PLoS ONE,19(1): e0293871, 2024.
- N. E. Nawa, and N. Yamagishi. Enhanced academic motivation in university students following a 2-week online gratitude journal intervention. BMC Psychology, 9, 71, 2021.
- N. E. Nawa, and H. Ando. Effective connectivity during autobiographical memory search. Brain and Behavior, https://doi.org/10.1002/brb3.1719, 2020.
- N. E. Nawa, and H. Ando. Effective connectivity within the ventromedial prefrontal cortex-hippocampus-amygdala network during the elaboration of emotional autobiographical memories. NeuroImage, 189:316-328, 2019.
- N. E. Nawa, and H. Ando. Retrieving binary answers using whole-brain activity pattern classification. Frontiers in Human Neuroscience, 9:689, 2015.
- N. E. Nawa, and H. Ando. Classification of Self-Driven Mental Tasks from Whole-Brain Activity Patterns. PLoS One 9(5):e97296, 2014.
- N. E. Nawa, E. E. Nelson, D. S. Pine, and M. Ernst. Do you make a difference? Social context in a betting task. Social Cognitive and Affective Neuroscience, 3(4):367–376, 2008.