企業におけるELSI対応 自動車技術開発における生命倫理の例をもとに:本澤 養樹(滋賀医科大学 社会医学講座 客員教授)
高度運転支援(自動運転)をはじめAIを基盤とする自動車の技術が実用段階に近づいています.これらの技術は時にドライバーの認知,判断,行動に直接,間接的に介入する必要があり,HMI(Human-Machine Interface)は重要な要素技術となっています.HMIの研究開発においては「人を対象とする研究」が不可欠であり,研究参加者の人権と心身への安全性に配慮したプロトコルで行わなければなりません.わが国では医学研究者が主体となっておこなう研究については,文部科学省・厚生労働省のいわゆる統合指針に沿ってプロトコルの倫理審査が実施されています.しかしながら純粋な工学研究を対象とした倫理指針は公的には存在せず,生命倫理的な妥当性の検証が十分に行われないまま実施される可能性もあります.本講義では講師の企業(自動車OEM)内,関連学会(公益社団法人自動車技術会)における生命倫理のルールメーキングの経験をもとに.企業内研究における生命倫理的チェックの重要性と工学系研究,企業内研究の課題について,実例を交えて解説します.
講師
本澤 養樹 先生
滋賀医科大学 社会医学講座 客員教授
日時
2024年7月12日(金)13:00~17:30(12:40より受付開始)第3部15:40~16:50
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場所
オンライン
お問い合せ先
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講師紹介
本澤 養樹(もとざわ やすき)先生
現職
- 滋賀医科大学 社会医学講座 客員教授
経歴
- 1982年 東京工業大学工学部生産機械工学科卒業,2008年博士(医学)(獨協医科大学).
- 1982年より2017年まで 株式会社本田技術研究所入社,2002年より同 主任研究員,設計,衝突安全研究,生体工学研究に従事.
- 2003年より2015年まで 獨協医科大学法医学講座,交通外傷研究に従事.
- 2014年より2020年まで 東京都市大学工学部客員教授.
- 2015年より 滋賀医科大学社会医学講座客員教授
- 2017年より2020年まで 帝京大学理工学部客員教授.
- 2009年より2017年まで 公益社団法人 自動車技術会研究倫理委員会委員
- 2016年より 同 自動車工学基礎講座講師
- 2019年より 同 技術者のための倫理育成検討ワーキンググループリーダ
- 2021年より 同 エシカルエンジニア開発委員会委員長
研究概要
自動車OEMエンジニアとして,車体質量分割による乗員減速度制御の研究,衝突荷重制御構造による乗員減速度制御の研究,妊婦自動車乗員の傷害メカニズムの定量的検討,人体有限要素モデルを用いた高齢者乗員の胸部応答解析など,医学・工学の学際領域において小型車,妊産婦さん,高齢者などの「交通弱者」保護の研究に長年従事しました.また生体工学の研究経験をもとに工学領域における生命倫理について提言をおこなってきました.近年は公益社団法人自動車技術会において,AI実装時代の技術者に求められる倫理コンピテンスを開発する人材育成プログラムを推進しています.
主な業績
- 学術論文(英文,査読有)19件(h-index: 7).学術論文(和文,査読有)13件.
- 国際会議プロシーディング(英文,査読有)6件.
- 研究発表(予稿有 査読無)24件.
- 2001年 5月(社)自動車技術会 技術開発賞受賞 (Gコントロール技術を応用した軽/小型車用新衝突安全ボディの開発).
- 2008年 5月(社)自動車技術会 優秀論文講演賞受賞 (妊婦ダミーを用いた後面衝突時の乗員応答の実験的検討.
- 特許(登録済)45件.