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応用脳科学アカデミー

2024年度

予測符号化原理に基づく実ロボットの知能化と事例:尾形 哲也(早稲田大学 理工学術院 基幹理工学部 教授)

深層学習に代表される機械学習では、大量のデータを学習し、最適な汎化性能を持つモデルの作成を目的とする。しかしながら、開かれている実世界で活動する実ロボットにおいて、全ての状況で最適なポリシーを獲得することは不可能であり、モデルには常に不可避の誤差が生じる。ここで、自由エネルギー原理では、予測誤差を最小化するべくモデル学習するだけでなく、知覚と運動を動的に適応させる。ここで身体の存在が極めて重要となり、ロボットシステムへの応用が期待できる。本講演では、我々がScience Robotics (2022) 等で提案している「深層予測学習」の枠組みについて紹介する。具体的には、複数の深層学習モデルで構成された実ロボット内の予測モデルが、過去の感覚と運動の経験を複数のアトラクターとして内包し、外部の感覚と運動を「引き込む」ことで予測誤差を最小化する。そして実際の未来とは異なる知覚イメージを実時間で作りながら自らの運動を調整(制御)する枠組みである。本講演では、この深層予測学習を用いたロボット研究の成果と、複数企業との共同研究事例を紹介する。

講師

尾形 哲也 先生
早稲田大学 理工学術院 基幹理工学部 教授

日時

2024年08月28日(水)13:00~17:30(12:40より受付開始)第3部 15:40~16:50
当日の全体スケジュールはこちらをご覧ください。

場所

オンライン開催(Zoom)

お問い合せ先

本講義に関するご質問等は、「各種お問い合わせフォーム」より、お問い合わせください。

講師紹介

尾形 哲也(おがた てつや)先生

現職

  • 早稲田大学 理工学術院 基幹理工学部 教授
  • 国立研究開発法人産業技術総合研究所 人工知能研究センター 特定フェロー

経歴

  • 1993年 早稲田大学理工学部機械工学科卒業
  • 1997年 日本学術振興会特別研究員(DC2)
  • 1999年 早稲田大学理工学部助手
  • 2001年 理化学研究所脳科学総合研究センター研究員
  • 2003年 京都大学大学院情報学研究科講師,2005年同准教授を経て,2012年より早稲田大学理工学術院教授、博士(工学)
  • 2009年~2015年 JSTさきがけ領域研究員,また2017年より産業総合技術研究所人工知能研究センター特定フェロー
  • 2013年~2014年 日本ロボット学会理事,2016年から2018年人工知能学会理事などを歴任
  • 2017年~ 日本ディープラーニング協会理事
  • 2020年~ 早稲田大学次世代ロボット研究機構AIロボット研究所所長
  • 2023年 文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)を受賞

研究概要

ディープラーニングに代表される神経回路モデルとロボットシステムを用いた、認知ロボティクス研究、特に予測学習、模倣学習、マルチモーダル統合、言語学習、コミュニケーションなどの研究に従事

主な業績

書籍等出版物

「こころ」とアーティフィシャル・マインド. 河合 俊雄, 吉岡 洋, 西垣 通, 尾形 哲也, 長尾 真. 創元社 2021年2月 (ISBN: 9784422117577)

発達ロボティクスハンドブック : ロボットで探る認知発達の仕組み. Angelo Cangelosi, Matthew Schlesinger, 萩原 良信, 荒川 直哉, 長井 隆行, 尾形 哲也, 稲邑 哲也, 岩橋 直人, 杉浦 孔明, 牧野 武文, 岡田 浩之, 谷口 忠大. 福村出版 2019年1月 (ISBN: 9784571230592)

ディープラーニングがロボットを変える. 尾形 哲也. 日刊工業新聞社 2017年7月 (ISBN: 9784526077326)

             

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