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応用脳科学アカデミー

2024年度

生存戦略としての音楽の美と快:本田 学(国立精神・神経医療研究センター 神経研究所疾病研究第七部 部長)

西洋音楽では、オーケストラや合唱団など、演奏者が指揮者に合わせて演奏するスタイルが一般的である。一方、日本を含む地球上の多くの文化圏では、指揮者やメトロノームのような視覚的な基準なしに、複数の演奏者同士が「阿吽の呼吸」や「以心伝心」で自律的に表現行動の同期をとり、一糸乱れぬ見事な演奏を実現する表現芸術が多く存在する。これらの同期協調型の音楽の多くは、プロの音楽家ではなく、共同体を構成するアマチュアの演者によって演奏されることが多いため、誰もが自然にできる事を巧妙に組み合わせることによって高度な表現を成り立たせている。本講義では、こうした伝統的共同体に根ざした同期協調型音楽の代表としてインドネシア・バリ島のケチャとガムラン音楽をとりあげ、その表現行動の合理性を脳科学的な視点から明らかにするとともに、こうした音楽が生み出す美と快が、分断と諍いを超えて人々の絆を強化し、ストレスフルな社会を安定化させ生存戦略として機能する仕組みを文化人類学的アプローチにより解説する。

講師

本田 学 先生
国立精神・神経医療研究センター 神経研究所疾病研究第七部 部長

日時

2024年10月23日(水)13:00~17:30(12:40より受付開始)第1部 13:00~14:10
当日の全体スケジュールはこちらをご覧ください。

場所

オンライン開催(Zoom)

お問い合せ先

本講義に関するご質問等は、「各種お問い合わせフォーム」より、お問い合わせください。

講師紹介

本田 学(ほんだ まなぶ)先生

現職

  • 国立精神・神経医療研究センター 神経研究所疾病研究第七部 部長

経歴

  • 1988年京都大学医学部卒業。
  • 1995年京都大学医学研究科博士課程修了。米国国立保健研究所(NIH)訪問研究員、自然科学研究機構生理学研究所准教授などを経て、2005年9月から現職。
  • 国際情報医学学会(International Society of Information Medicine)vice-president、東京大学ニューロインテリジェンス国際研究機構連携研究者、東京農工大学客員教授、東京慈恵会医科大学客員教授などを兼務。
  • これまでに、文部科学省学術調査官、科学技術・学術審議会専門委員などを務める。

研究概要

主な研究テーマは、脳情報から精神・神経疾患の病態解明と治療法開発に迫る「情報医学」の体系化、ハイパーソニック・エフェクトを応用した「情報環境医療」の開発、感性脳機能のイメージング、非侵襲脳刺激による機能的治療法の開発など。

主な業績

  • 本田 学: 「情報医学・情報医療」の可能性. 人間情報学 快適を科学する, 近代科学者Digital, 東京, pp.74-82, 2021.
  • 本田 学: 聴く脳・見る脳の仕組み. 音楽・情報・脳, 放送大学教育振興会, 東京, pp.22-41, 2017.
  • 本田 学: 感動する脳の仕組み. 音楽・情報・脳, 放送大学教育振興会, 東京, pp.42-61, 2017.
  • 本田 学: 音楽を感じる脳は変化を感じる脳. 音楽・情報・脳, 放送大学教育振興会, 東京, pp.62-78, 2017.
  • 本田 学: 耳に聞こえない高周波が音楽の感動を高める. 音楽と脳(NPO法人脳の世紀推進会議編), クバプロ, 東京, pp.29-66, 2016.
  • 本田 学: 感性と情動を生み出す脳. 質感の科学, 朝倉書店, 東京, pp.104-123, 2016.
  • Honda M: Information Environment and Brain Function: A New Concept of the Environment for the Brain. Neurodegenerative Disorders as Systemic Diseases (Wada K., Ed.), Springer, Tokyo, pp.279-294, 2015.
  • 本田 学: 脳と情報環境—脳科学から見た環境の安全・安心—. 脳の発達と育ち・環境. NPO法人脳の世紀推進会議編, クバプロ, 東京, pp. 9-45, 2010.

             

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