ニューロダイバーシティ運動は、一部の専門家や親の会による医学モデルに基づく自閉症理解や実践に対する、自閉症当事者による異議申し立てとして1990年代に始まった。この運動においては、自閉症は治すべき病理ではなく、ジェンダーやエスニシティ、人種や性自認、性的志向と同様、尊重されるべき多様性であることが強調される。そして、自閉症者が暮らしやすいものへと、制度や物理的環境、文化などといった社会環境を変革することが目指される。こうした動きは、アカデミックな自閉症研究にも影響を与えつつあり、イギリスのParticipatory Autism Research Collectiveや、日本の当事者研究など、当事者参加型の自閉症研究が台頭しつつあり、自閉症理解のパラダイムシフトを起こしつつある。本講義ではこうした動向に基づいた、近年の自閉症理解と、当事者が過剰適応せずに活躍できる職場の条件について説明をする。

講師

綾屋 紗月 先生
東京大学 先端科学技術研究センター 特任准教授
東京大学 多様性包摂共創センター 特任准教授

日時

2025年01月14日（火）13:00～17:30（12:40より受付開始）第1部 13:00～14:10
当日の全体スケジュールはこちらをご覧ください。

場所

ハイブリッド開催（会場：株式会社NTTデータ経営研究所会議室（千代田区平河町（地図）＆Zoom）

お問い合せ先

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講師紹介

綾屋 紗月 （あやや　さつき）先生

現職

• 東京大学 先端科学技術研究センター 特任准教授
• 東京大学 多様性包摂共創センター 特任准教授

経歴

2007年 7月　自閉スペクトラム症の当事者研究に関する在野研究者
2012年 9月　東京大学先端科学技術研究センター 特任研究員
2014年 9月　立教大学 兼任講師（2014～2016, 2018～2020）
2020年 3月　東京大学大学院総合文化研究科 広域科学専攻 博士後期課程 修了 博士（学術）
2020年 4月　東京大学先端科学技術研究センター 特任講師
2023年 6月　東京大学先端科学技術研究センター 特任准教授

研究概要

当事者研究、参加型自閉症研究、研究の共同創造

主な業績

• 綾屋紗月. (2024). 自閉症とジェンダーの交差性. 小川眞里子・鶴田想人・弓削尚子(編著)ジェンダード・イノベーションの可能性, 印刷中, 明石書店.
• 綾屋紗月. (2024). 自閉スペクトラム者の経験―当事者研究と共同創造. 障害学研究20 障害学の展開―理論・経験・政治, 200-215, 明石書店．
• 綾屋紗月. (2023)．当事者研究の誕生．東京大学出版会.
• Ayaya, S.. & Kitanaka, J. (2023). Tōjisha-kenkyū: Japan’s radical alternative to psychiatric diagnosis. Aeon, https://aeon.co/essays/japans-radical-alternative-to-psychiatric-diagnosis.
• Pukki, H., Bettin, J., Outlaw, A. G., Hennessy, J., Brook, K., Dekker, M., Doherty, M., Shaw, S. C. K., Bervoets, J., Rudolph, S., Corneloup, T., Derwent, K., Lee, O., Rojas, Y. G., Lawson, W., Gutierrez, M. V., Petek, K., Tsiakkirou, M., Suoninen, A., Minchin, J., Döhle, R., Lipinski, S., Natri, H., Reardon, E., Estrada, G. V., Platon, O., Chown, N., Ayaya, S., Milton, D., Walker, N., Roldan, O., Herrán, B., Cañedo, C. L., McCowan, S., Johnson, M., Turner, E. J., Lammers, J., & Yoon, W. H. (2022). Autistic perspectives on the future of clinical autism research. Autism in Adulthood, 4(2), 93-101.
• 綾屋紗月(編著). (2018). ソーシャル・マジョリティ研究：コミュニケーション学の共同創造. 金子書房．
• 2019年11月　第73回毎日出版文化賞（企画部門）受賞