「ヒトと世界をつなぐもの:テレイグジスタンスと感覚伝送」:前田 太郎(大阪大学大学院情報科学研究科 教授)
人と外界は感覚と運動によって接続されている.テレイグジスタンスやバーチャルリアリティではこの物理的接続を電子的な記録・再生技術によってインターセプトして遠隔地やメタバースに再接続することで,新たな没入体験を実現している.第一義的にはヒトに観測されるはずの物理信号に相当する感覚提示技術の再現精度を上げさえすれば達成される,と思われがちなバーチャルリアリティ技術も,人間の知覚や認識の理解無しには世界認識の再構築に至らずリアルな没入体験を再現することはできない.本講演では物理刺激と人の認識のメカニズムから感覚―運動の伝達・再現を設計する基礎研究を紹介する.
講師
前田 太郎 先生
大阪大学大学院情報科学研究科 教授
日時
2023年11月1日(水)13:00~17:30(12:40より受付開始)第2部 14:20~15:30
当日の全体スケジュールはこちらをご覧ください。
場所
オンライン(Zoom)
お問い合せ先
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講師紹介
前田 太郎(まえだ たろう)先生
現職
- 大阪大学大学院情報科学研究科 教授
経歴
- 1987年 東京大学 工学部 計数工学科 卒業
- 1987年 通商産業省工業技術院 機械技術研究所 研究員
- 1992年 東京大学 先端科学技術研究センター 助手
- 1994年 東京大学 工学部計数工学科 助手
- 1995年 東京大学大学院 工学系研究科計数工学専攻 助手
- 1995年 東京大学大学院 工学系研究科計数工学専攻 講師
- 2002年 日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション 科学基礎研究所 主幹研究員
- 2007年 大阪大学大学院 情報科学研究科 教授
研究概要
バーチャルリアリティ・サイバネティクス・人間機械論
バーチャルリアリティやテレイグジスタンス(遠隔臨場制御)のような没入体験によってわかるように人間の意識と世界は身体を介した情報によってのみ繋がっています。感覚と運動を電子情報的につなげるインタフェース技術を研究することによってヒトの知覚や運動のメカニズムを解明し、ヒト自身の身体機能を補佐し拡張する直観的で新しいインタフェース技術を開発する研究を進めています。
主な業績
- Taro Maeda, Hideyuki Ando, Hiroyuki Iizuka, Tomoko Yonemura, Disuke Kondo, Yuki Hashimoto: Immersive tele-collaboration with Parasitic Humanoid: how to assist behavior directly in mutual telepresence: The 21th International Conference on Artificial Reality and Telexistence (ICAT 2011), Osaka, Nov. 30, 2011.
- Niwa, M., Okada,S., Sakaguchi, S., Azuma, K.,Iizuka,H.,Ando,H.,Maeda,T,Detection and Transmission of “Tsumori”:an Archetype of Behavioral Intention in Controlling a Humanoid Robot,20th International Conference on Artificial Reality and Telexistence,Dec. 2, 2010,Adelaide, Australia