広視野呈示下におけるfMRI脳機能イメージング:和田 充史(情報通信研究機構(NICT) 未来ICT研究所 脳情報通信融合研究センター(CiNet) 脳機能解析研究室 主任研究員)
人は様々な物に囲まれた複雑な環境の中でも,目に映る映像から瞬時に環境と自己の様子とその変化を把握できますが,その脳メカニズムの全容は未だ明らかではありません.本講義では,fMRI脳機能イメージングとVR映像技術を組み合わせることで,こうした自然視覚経験下の脳メカニズムを解明する研究について紹介します.具体的には,独自の光学系により従来困難であったfMRI計測時の広視野3D映像提示を可能にした実験系について紹介します.さらに,広視野自然動画により生じる脳内情報表現を符号化モデリングと呼ばれる手法を用いて定量的に同定する試みと,この目的に最適化された広視野自然動画fMRIデータセットの構築ついて紹介します.
講師
和田 充史 先生
情報通信研究機構(NICT) 未来ICT研究所 脳情報通信融合研究センター(CiNet) 脳機能解析研究室 主任研究員
日時
2022年12月6日(火)13:00~17:30(12:40より受付開始)
※和田先生の講義は、14:20~15:30です。
場所
オンライン講義 ※変更になりました
お問い合せ先
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講師紹介
和田 充史(わだ あつし)先生
現職
- 情報通信研究機構(NICT) 未来ICT研究所 脳情報通信融合研究センター(CiNet) 脳機能解析研究室 主任研究員
- 大阪大学大学院生命機能研究科 招へい准教授
経歴
- 2000年 大阪大学工学部 電子情報エネルギー工学科卒業
- 2005年 京都大学大学院情報学研究科 博士課程単位認定退学 (同年博士(情報学))
- 2005年-2006年 国際電気通信基礎技術研究所 ネットワーク情報学研究所 研究員
- 2006年-2009年 国際電気通信基礎技術研究所 認知情報科学研究所 研究員
- 2009年-2011年 情報通信研究機構 ユニバーサルメディア研究センター 研究員
- 2011年-2015年 情報通信研究機構 ユニバーサルコミュニケーション研究所 研究員
- 2013年-至現在 情報通信研究機構 脳情報通信融合研究センター(CiNet) 研究員(〜2019.9),主任研究員(2019.10〜現在)
- 2013年-至現在 大阪大学大学院 生命機能研究科 招へい教員(〜2020.3),招へい准教授(2020.4〜現在)
研究概要
人は様々な物に囲まれた複雑な環境の中でも,目に映る映像から瞬時に環境と自己の様子とその変化を把握できますが,その脳の仕組みの全容は未だ明らかではありません.私たちはVR映像技術とfMRI脳機能イメージングを組み合わせた独自のアプローチによって日常に極めて近い(広視野3D)自然視覚経験下における空間認識の脳メカニズム解明を進めています.加えて,最新AIを用いて脳内の情報表現を定量的にモデル化する新たな解析の枠組をfMRI脳活動応答データに適用することで,自然な視覚環境下において人が主観的に感じる外界・自己の状況を脳活動からリアルタイムに推定できる技術の確立を目指しています.
主な業績
- Wada A, Sakano Y, Ando H. (2014) Human cortical areas involved in perception of surface glossiness, NeuroImage, Vol. 98, pp. 243-257.
- Wada A, Sakano Y, Ando H. (2016) Differential responses to a visual self-motion signal in human medial cortical regions revealed by wide-view stimulation, Frontiers in Psychology, Vol. 7, 309.
- Callan DE, Falcone B, Wada A, Parasuraman R. (2016) Simultaneous tDCS-fMRI Identifies Resting State Networks Correlated with Visual Search Enhancement. Frontiers in Human Neuroscience, Vol. 10, 72.
- Falcone B, Wada A, Parasuraman R, Callan DE. (2018) Individual differences in learning correlate with modulation of brain activity induced by transcranial direct current stimulation. PLOS ONE, Vol. 13, No. 5, e0197192.
- Wada A, Nishida S, Ando H, Nishimoto S. (Sep. 2018) Modeling human visual responses with a U-shaped deep neural network for motion flow-field estimation, 2018 Conference on Cognitive and Computational Neuroscience (CCN2018), 1021.
- Sakano Y, Wada A, Ikeda H, Saheki Y, Tagai K, Ando H. (2021) Human brain activity reflecting facial attractiveness from skin reflection. Scientific Repoprts, 11, 3412.