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応用脳科学アカデミー

2022年度

人工脳の構築へ向けた脳情報のモデル化:西田 知史(情報通信研究機構(NICT) 未来ICT研究所 脳情報通信融合研究センター(CiNet) 脳情報工学研究室 主任研究員)

神経科学および知能情報学の最終的なゴールの一つは、人間の脳をすべてモデル化し、人工脳として再現することです。このゴールはまだ遠い未来の話のように感じるかもしれませんが、近年の脳計測技術や人工知能技術の発展により、現実的な問題として取り組める段階に来ています。私たちの研究グループは、この問題に対するアプローチの一つとして、脳情報の包括的なモデル化に取り組んでいます。特に、日常生活で私たちが扱うような自然な感覚入力から生じる脳内の視聴覚処理や意味処理を、コンピュータビジョンや自然言語処理の技術を用いてモデル化しています。これにより、脳内情報処理を定量的に理解するとともに、脳の振る舞いをシミュレートする技術の研究を進めています。また実際に、脳情報のモデルを人工知能システムへ融合し、システムの振る舞いに人間らしさや個性をもたらすことにも成功しています。本講義では、私たちのグループが取り組む人工脳の実現へ向けた一連の研究について紹介します。

講師

西田 知史 先生
情報通信研究機構(NICT) 未来ICT研究所 脳情報通信融合研究センター(CiNet) 脳情報工学研究室 主任研究員

日時

2022年12月6日(火)13:00~17:30(12:40より受付開始)
※西田先生の講義は、13:00~14:10です。

場所

オンライン講義 ※変更になりました

お問い合せ先

本アカデミーに関するご質問等は、「各種お問い合わせフォーム」より、お問い合わせください。

講師紹介

西田 知史(にしだ さとし)先生

現職

  • 情報通信研究機構(NICT) 未来ICT研究所 脳情報通信融合研究センター(CiNet) 脳情報工学研究室 主任研究員
  • 大阪大学 大学院生命機能研究科 招へい准教授

経歴

  • 2020年4月- 大阪大学 大学院生命機能研究科 招へい准教授
  • 2019年4月- 情報通信研究機構 未来ICT研究所 脳情報通信融合研究センター 主任研究員
  • 2020年12月-2022年3月 科学技術振興機構 さきがけ兼任研究者
  • 2015年4月-2020年3月 大阪大学 大学院生命機能研究科 招へい研究員
  • 2014年11月-2019年3月 情報通信研究機構 脳情報通信融合研究センター 研究員
  • 2014年4月-2014年10月 京都大学 こころの未来研究センター 研究員

研究概要

私の研究目標は、意味や感性、意識のような人間らしさや個性を生み出す認知情報の脳内表現を理解することです。この目標のもと、fMRIで計測した脳活動に数理分析を適用して、脳内情報の可視化に取り組んでいます。また、その応用として、脳活動からその人の認知内容を読み取る脳情報デコーディング技術の開発や、人間らしく振る舞う人工知能を実現するために脳内情報を人工知能へ組み込む技術の開発も進めています。

主な業績

  • Nishida S, Blanc A, Maeda N, Kado M, Nishimoto S. Behavioral correlates of cortical semantic representations modeled by word vectors. PLOS Computational Biology, 17(6): e1009138, 2021.
  • Niikawa T, Miyahara K, Hamada HT, Nishida S. A new experimental phenomenological method to explore the subjective features of psychological phenomena: its application to binocular rivalry. Neuroscience of Consciousness 2020(1):niaa018, 2020.
  • Nishida S, Nakano Y, Blanc, A, Maeda N, Kado M, Nishimoto S. Brain-mediated Transfer Learning of Convolutional Neural Networks. Proceedings of the Thirty-Fourth AAAI Conference on Artificial Intelligence 34(4):5281–5288, 2020.
  • Nishida S, Nishimoto S. Decoding naturalistic experiences from human brain activity via distributed representations of words. NeuroImage 180(A):232-242, 2018.

             

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