AIのELSIにおけるトラスト:中川 裕志(理化学研究所・革新知能統合研究センター・チームリーダー)
AIが人間より高い能力を持ち、人間にとっての脅威になるというような危惧から発展してきたAIのELSI、とりわけAI倫理ではあるが、その根拠が薄弱であることは理解されてきている。代わって、ロボット、ヒューマンインタフェース、メタバースにおけるアバターなど、AIを基礎に置く、いわゆるAIエージェントが人間と共存する社会におけるリアルな問題を考えることがELSIにおける喫緊の課題になってきている。この課題の中でもとりわけ重要なのが、トラストである。人間がAIをトラストできるのか、だけではなく、AIが人間をトラストできるのか、という両方向からトラストの問題を考えてみたい。
講師
中川 裕志 先生
理化学研究所・革新知能統合研究センター・チームリーダー
東京大学名誉教授
日時
2022年8月30日(火)13:00~17:30(12:40より受付開始)
※中川先生の講義は、15:40~16:50です。
場所
オンライン講義
お問い合せ先
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講師紹介
中川 裕志(なかがわ ひろし)先生
現職
- 理化学研究所・革新知能統合研究センター・チームリーダー
- 東京大学名誉教授
経歴
- 1975年 東京大学工学部卒
- 1980年 東京大学大学院工学系研究科修了(工学博士)
- 1980年~1999年 横浜国立大学工学部
- 1999年~2018年 東京大学・情報基盤センター・教授
- 2018年~現在 理化学研究所・革新知能統合研究センター・チームリーダー、東京大学名誉教授
研究概要
理論と技術が大きく発展した機械学習ないしAIが社会において利活用される現代において、AIの機能や開発の指針となるAI倫理について検討します。特にプライバシー保護、説明可能性、アカウンタビリティ、トラスト、AIエージェントなどの在り方に焦点を当てます。関連するAI技術の調査、研究に加えて、法制度、社会制度について現状の調査、分析および将来のあるべき姿について検討します。法制度に関しては、AIに関連する諸法律、たとえば個人情報保護法、さらに日本に大きな影響を与えるGDPRのような海外の法制度についても検討を進めます。
主な業績
- 1.中川裕志.:データサイエンス入門シリーズ『教養としてのデータサイエンス』 978-4-06-523809-7 3.1節 データ・AIを扱う上での留意事項 P.175-204 .講談社サイエンティフィック. 2021年5月25日刊行.
- 2.中川裕志.:”AI研究の歴史的経緯”
- 人工知能と人間・社会の第1章第1節 P.2-15 勁草書房 (2020)
- 3.中川裕志.:
- “裏側から視るAI 脅威・歴史・倫理”
- 近代科学社 (2019)
- 4.Hiroshi Nakagawa et.al. (37 coauthors).:
- “Personal Data and Individual Agent”
- IEEE Ethically Aligned Design, First Edition, P.110-123,(2019)
- 5.Hiroshi Nakagawa et.al. (37 coauthors).:
- “Personal Data and Individual Access Control”
- IEEE Ethically Aligned Design, version 2, P.83-112,(2017)
- 6.小栗 秀暢、黒政 敦史、中川 裕志、菊池 浩明、門田 将徳.:
- “個人データに対応する匿名化と再識別コンテスト:PWSCUP”
- 情報処理学会.ディジタルプラクティス:特集「情報セキュリティ対策のプラクティス」、9 (3)、 P.659-684 (2018)
- 7.Takuma Nakagawa, Hiromi Arai, Hiroshi Nakagawa.:
- “Personalized Anonymization for Set-Valued Data by Partial Suppression”
- Transactions on Data Privacy 11(3) P. 219-237,(2018)
- 8.Yusuke Morikawa, Yasuo Tabei, Takehito Utsuro, Hiroshi Nakagawa, et.al.:
- “Classification of Time Series Measurement Data for Shift Control of Automatic Transmission of Vehicles Using Machine Learning Techniques”
- SAE WCS2020, World Congress Experience (Detroit, MI), Technical Paper, 20PFL-0188 , #2020-01-0260 ,(2020)
- 9.Takuma Nakagawa and Hiroshi Nakagawa.:
- “Global Suppression Algorithms for Personalized Anonymization of Set-Valued Data”
- Privacy in Statistical Databases 2018, Valencia, Spain. September 26-28,(2018)
- 10.Takuma Nakagawa, Hiromi Arai, Hiroshi Nakagawa.:
- “Personalized Anonymization for Set-Valued Data by Partial Suppression”
- the 10th International Workshop on Privacy and Anonymity in the Information Society (PAIS 2017) collocated with IEEE ICDM2017 (2017)