人工神経接続 ~ココロと身体をつなぐ~:西村 幸男(公益財団法人 東京都医学総合研究所 脳・神経科学研究分野 脳機能再建プロジェクト プロジェクトリーダー)
多くの人が意欲の高い時に競技スポーツなどの運動パフォーマンスで良い結果を残すことができた経験があるのではないだろうか。また、リハビリテーションの現場においても運動機能回復を促す上で患者の意欲を引き出すことが重要であることを示唆されてはいるが、意欲や情動が運動機能、さらに運動麻痺の回復に寄与する神経メカニズムや因果関係は未だ不明な点が多い。これまで意欲を制御するといわれている側坐核と腹側被蓋野からなる中脳辺縁系は、四肢の運動機能に直接の関係はないと思われてきた。我々は、このような心と身体を繋ぐ神経基盤を解明することを目指し、意欲に関与している中脳辺縁系の身体運動制御機構について研究している。本講演では、fMRIによるヒトの意欲操作の研究とサルでの中脳辺縁系の神経活動操作によって明らかになってきた、心が身体を動かす神経基盤について議論したい。
講師
西村 幸男 先生
公益財団法人 東京都医学総合研究所 脳・神経科学研究分野 脳機能再建プロジェクト プロジェクトリーダー
日時
2022年9月27日(火)13:00~17:30(12:40より受付開始)
※西村先生の講義は、13:00~14:10です。
場所
入館方法
JA共済ビルのエントランスフロアで受付を済ませてから、左側のエレベーターにて9階までお越しください。応用脳科学アカデミーの案内看板が掲示されています。
そちら側よりご入室いただきますと、右側奥に応用脳科学アカデミー受付(臨時設置)がございます。
お問い合せ先
本アカデミーに関するご質問等は、「各種お問い合わせフォーム」より、お問い合わせください。
講師紹介
西村 幸男(にしむら ゆきお)先生
現職
- 公益財団法人 東京都医学総合研究所 脳・神経科学研究分野 脳機能再建プロジェクト プロジェクトリーダー
経歴
- 2009年 – 2014年 科学技術振興機構 さきがけ 研究員(兼任)
- 2011年 – 2016年 生理学研究所 認知行動発達機構 准教授
- 2011年 – 2017年 総合研究大学院大学 生理科学 准教授(兼任)
- 2016年 – 2017年 京都大学 大学院医学研究科 神経生理学 准教授
- 2017年 – 2020年 公益財団法人 東京都医学総合研究所 認知症・高次脳機能研究分野 脳機能再建プロジェクト プロジェクトリーダー
- 2020年 – 現在 公益財団法人 東京都医学総合研究所 脳・神経科学研究分野 脳機能再建プロジェクト プロジェクトリーダー
研究概要
- 脳脊髄損傷患者に対する人工神経接続による運動・体性感覚機能再建法の開発
- 機能回復の神経メカニズムの解明
- 心と身体運動を繋ぐ神経機構の解明
- 精神機能と運動機能を同時に促進する介入法の開発
主な業績
- Kato K, Sawada M, Nishimura Y. Bypassing stroke-damaged neural pathways via a neural interface induces targeted cortical adaptation. Nat Commun. 2019;10(1):4699.
- Umeda T, Isa T, Nishimura Y. The somatosensory cortex receives information about motor output. Sci Adv. 2019;5(7):eaaw5388.
- Sawada M, Kato K, Kunieda T, Mikuni N, Miyamoto S, Onoe H, Isa T, Nishimura Y. Function of nucleus accumbens in motor control during recovery after spinal cord injury. Science, 2015, 350: 98-101.
- Nishimura Y, Perlmutter SI, Ryan WE, Fetz EE. Spike-timing dependent plasticity in primate corticospinal connections induced during free behavior. Neuron. 2013; 80(5):1301-9.
- Nishimura Y, Morichika Y, Isa T. A subcortical oscillatory network contributes to recovery of hand dexterity after spinal cord injury. Brain. 2009; 132(Pt 3):709-21.
- Nishimura Y, Onoe H, Morichika Y, Perfiliev S, Tsukada H, Isa T. Time-dependent central compensatory mechanisms of finger dexterity after spinal cord injury. Science. 2007 318(5853):1150-5.