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応用脳科学アカデミー

2022年度

脳腸相関から人間の行動が解けるか:福土 審(東北大学大学院 医学系研究科 心療内科学分野 教授)

脳腸相関とは、脳と腸の機能的関連を指す医学用語である。まず、ストレスが人間の生体に負荷された時に生じる脳→腸方向の変化が証明された。次に、腸内に与えた刺激が脳機能に及ぼす影響が研究された。更に、腸内細菌を変容させると生体の行動が変化する結果が報告され、腸→脳方向の影響が注目されている。それを強調して腸脳相関とも呼べるが、元々の脳腸相関の概念そのものの中に影響は双方向であることが含まれる。その影響が顕著に現れる現象がストレス関連疾患の代表格とも言える過敏性腸症候群(IBS)である。IBSは高頻度であり、うつ病、不安症の原因にも結果にもなる。IBSは多数の現代的疾患群と高率に合併する。また、認知症やパーキンソン病のリスクが高い。IBSを解決すれば、これらの全ての問題も軽減あるいは解決できる可能性がある。脳腸相関は脳・環境・臓器間ネットワークと社会性の関連がいかに人間の健康と病的状態に関与するかに直結しており、今後ますます重要になるであろう。

講師

福土 審 先生
東北大学大学院 医学系研究科 心療内科学分野 教授
東北大学病院 心療内科科長

日時

2022年8月5日(金)13:00~17:30(12:40より受付開始)
※福土先生の講義は、14:20~15:30です。

場所

オンライン講義←ハイブリッド開催より変更になりました


お問い合せ先

応用脳科学アカデミーおよび本講義に関するご質問等は、 「各種お問い合わせフォーム」 より、お問い合わせください。

講師紹介

福土 審(ふくど しん)先生

現職

  • 東北大学大学院 医学系研究科 心療内科学分野 教授
  • 東北大学病院 心療内科科長

経歴

1983年 東北大学医学部医学科卒業 東北大学医学部附属病院心療内科入局、十和田市立中央病院内科 研修
1987年 東北大学助手 アメリカ・デュ−ク大学医学部 行動医学教室留学
1990年 東北大学学位、医学博士
1993年 東北大学医学部附属病院心療内科医局長
1997年 東北大学講師、医学部附属病院心療内科副科長
1998年 東北大学助教授
1999年 東北大学大学院医学系研究科 教授
2010年 東北大学創生医学応用研究センター脳神経科学コアセンター 病態脳科学プロジェクト長
2011年 東北大学病院心療内科科長

研究概要

内科学、心身医学、行動医学、消化器病学、脳内臓相関、殊に消化管生理学を中心とする脳腸相関の病態生理学、ストレス病学、ストレスによって発症・増悪する疾患の研究

主な業績

最近の代表的論文リスト

  1. Fukudo S, el al. Histamine neuroimaging in stress-related disorders. Curr Top Behav Neurosci 2022 Feb 14. doi: 10.1007/7854_2021_262. Online ahead of print
  2. Sperber AD, Bangdiwala SI, Drossman DA, Ghoshal UC, Imren M, Tack J, Whitehead WE, Dumitrascu DL, Fang X, Fukudo S, et al. Worldwide prevalence and burden of functional gastrointestinal disorders, results of Rome Foundation global study. Gastroenterology 160: 99-114.e3, 2021.
  3. Oudenhove LV, Kragel P, Dupont P, Ly HG, Pazmany E, Enzlin P, Rubio A, Delon-Martin C, Bonaz B, Aziz Q, Tack J, Fukudo S, Kano M, Wager T. Common and distinct neural representations of aversive somatic and visceral stimulation in healthy individuals. Nat Commun 11: 5939, 2020.
  4. Kano M, Grinsvall C, Ran Q, Dupont P, Morishita J, Muratsubaki T, Mugikura S, Ly HG, Törnblom H, Ljungberg M, Takase K, Simrén M, Van Oudenhove L, Fukudo S. Resting state functional connectivity of the pain matrix and default mode network in irritable bowel syndrome: a graph theoretical analysis. Sci Rep 10: 11015, 2020.
  5. Fukudo S, et al. Safety and efficacy of the sodium-glucose cotransporter 1 inhibitor mizagliflozin for functional constipation: a randomised, placebo-controlled, double-blind phase 2 trial. Lancet Gastroenterol Hepatol 3: 603-613, 2018.
  6. Enck P, Aziz Q, Barbara G, Farmer A, Fukudo S, et al. Irritable bowel syndrome (IBS). Nat Rev Dis Primers 2: 16014, 2016.

受賞歴

アメリカ心身医学会若手研究者賞、アメリカ消化器病学会マスターズ賞、学術ローマ委員会研究者賞、文部科学大臣表彰科学技術賞研究部門、日本心身医学会石川記念賞、東北大学沢柳賞

             

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