人とロボットの経験を拡張するVRデジタルツイン:稲邑 哲也(国立情報学研究所 情報学プリンシプル研究系 准教授)
近年のVR技術の発展にともない,現実では実現不可能な仮想体験を提供することで,ユーザの行動を変容させる技術が注目されてきている.一方で,ユーザにとって最も相応しいのはどのような仮想体験であるか,をAIが決定するのは困難な問題である.そこで,ユーザの状態をデジタル空間上で表現する「人のデジタルツイン」技術とVR技術を融合することで,適切な行動変容を促すような仮想経験を決定する方法論を提案する.アシストロボットや日常生活支援ロボットなどでの応用を中心に,現在の取り組みを紹介し今後の展望について述べる.
講師
稲邑 哲也 先生
国立情報学研究所 情報学プリンシプル研究系 准教授
日時
2022年11月30日(水)13:00~17:30(12:40より受付開始)
※稲邑先生の講義は、15:40~16:50です。
場所
オンライン講義←ハイブリッド開催より変更になりました
お問い合せ先
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講師紹介
稲邑 哲也(いなむら てつなり)先生
現職
- 国立情報学研究所 情報学プリンシプル研究系 准教授
- 総合研究大学院大学複合科学研究科情報学専攻 准教授
経歴
- 1995年 東京大学工学部 機械情報工学科 卒業
- 1997年 東京大学大学院 工学系研究科 情報工学専攻 修士課程修了
- 2000年 東京大学大学院 工学系研究科 情報工学専攻 博士課程修了
- 2000年 科学技術振興事業団CREST 研究員
- 2003年4月 – 2006年3月 東京大学 大学院・情報理工学系研究科 講師
- 2006年4月 – 2007年3月 東京大学大学院情報理工学系研究科 特任助教授
- 2006年4月 – 現在 総合研究大学院大学複合科学研究科情報学専攻 准教授
- 2006年4月 – 現在 国立情報学研究所 情報学プリンシプル研究系 准教授
- 2007年4月 – 2011年6月 東京大学IRT研究機構 特任准教授
- 2011年8月 – 2013年7月 文部科学省研究振興局 学術調査官
研究概要
人間の日常生活行動を支援することのできる対話型知能ロボットの実現に向けた研究に取り組んでいます.ヒューマノイドロボットの開発から始まり,人間の行動理解,行動の言語的表現への変換法,タスク達成のための協力的対話制御法,対話からの語彙の獲得,ロボットの道具利用スキルの学習,スポーツ動作のコーチングロボット,などの研究に携わってきました.また,近年では,ロボットとの対話学習を効率化するためのクラウド型VRシステムを開発し,人間が参加する新しい形態のロボット競技会を主催する活動も行っています.
主な業績
受賞歴
- 2017年 RoboCup Federation Open Source Software Award
- 2013年 ロボカップジャパンオープン2013 人工知能学会賞
- 2013年 船井科学技術振興財団 船井学術賞
- 2013年 日本機械学会 日本機械学会教育賞
- 2011年 日本ロボット学会 第4回功労賞
- 2008年 日本ロボット学会 研究奨励賞
- 2003年 船井情報科学財団 船井情報科学奨励賞受賞
解説記事
- 仮想現実を用いたニューロリハビリテーションのためのクラウドプラットフォーム,稲邑 哲也,計測と制御 56(3) 204-209 2017
- 長時間の身体的社会的対話実験のためのクラウド型VRプラットフォーム,稲邑 哲也,計測と制御. 55(10) 890-895 2016
- 社会的知能研究のためのシミュレーションプラットフォーム:SIGVerse,稲邑 哲也,日本ロボット学会誌 31(3) 240-243 2013
著書
- ロボットのおへそ,丸善ライブラリー,2009