両親の栄養が次世代の健康に与える影響とエピジェネティクス:大隅 典子(東北大学 副学長)
脳の中には1000億もの神経細胞と、さらにその数倍の数のグリア細胞が存在し、神経機能を営んでいます。このような脳の細胞は「神経幹細胞」というタネの細胞から作られ、大部分は胎児期に生まれますが、例えば海馬の中などでは生涯にわたって神経細胞が産生され続けることが知られています。このような「神経新生」と呼ばれる現象は、遺伝的なプログラムによって支配されていますが、運動、睡眠、栄養のような環境因子によっても左右されます。本講義では、とくに種々の栄養因子が脳の構築や機能にどのように影響するのかについて最新の知見を平易なことばでお話ししたいと思います。例えば「脳細胞はショ糖しか利用できない」という話は本当なのか、「魚を食べると頭が良くなる」のかどうか、是非、講演を聴いてみて下さい。
講師
大隅 典子 先生
東北大学副学長(広報・共同参画担当)
日時
2021年9月14日(火)13:00~17:30(12:40より受付開始)
※大隅先生の講義は、13:00~14:10です。
場所
オンライン開催
お問い合せ先
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講師紹介
大隅 典子(おおすみ のりこ)先生
現職
- 東北大学 副学長(広報・共同参画担当)
- 東北大学 附属図書館長
- 東北大学大学院 医学系研究科 脳神経科学コアセンター コアセンター長
- 発生発達神経科学分野 教授
経歴
- 1985年 東京医科歯科大学歯学部卒。
- 1989年 同大学院歯学研究科修了。歯学博士。
- 1989年 同大学歯学部助手、
- 1996年 国立精神・神経センター神経研究所室長を経て、
- 1998年より 東北大学大学院医学系研究科教授(現職)。
- 2006年 東北大学総長特別補佐(男女共同参画担当)、
- 2008年 東北大学ディスティングイッシュトプロフェッサーに就任。
- 2004年より 科学技術振興機構CREST「ニューロン新生の分子基盤と精神機能への影響の解明」研究代表者、
- 2007年より 東北大学グローバルCOE「脳神経科学を社会へ還流する研究教育拠点」拠点リーダーを務める。
- 2006年より 東北大学女性研究者育成支援推進室副室長として振興調整費による「杜の都女性科学者ハードリング支援事業」を推進、
- 同年、女性研究者育成支援態勢整備の促進に貢献したとして、「ナイスステップな研究者2006」に選定。
研究概要
専門分野:発生生物学、分子神経科学
現在の主要なテーマ
- 脳の発生発達維持の分子機構
- 神経新生低下と精神疾患発症の関わり
- 脳の健康を保つ栄養
主な業績
国際誌原著
- Matsuo, T.*, Osumi-Yamashita N.*, Noji, S., Ohuchi, H., Koyama, E., Myokai, F., Matsuo, N.,Taniguchi, S., Doi, H., Iseki, S., Ninomiya, Y., Fujiwara, M., Watnabe, T., & Eto, K.: Amutation of the Pax-6 gene in rat “”small eye”” was associated with migration defect of midbrain crest cells. Nature Genet. 3, 299-304, 1993(*ともに筆頭著者)
- Watanabe, A., Toyota, T., Owada, Y. et al.: Fabp7 maps to a quantitative trait locus for a schizophrenia endophenotype. PLoS Biol 5(11), e297, 2007
- Tsunekawa, Y., Britto, J.M., Takahashi, M., Polleux, F., Tan, S-S., & Osumi, N. Cyclin D2 in the basal process of neural progenitors is linked to non-equivalent cell fates. EMBO J 31, 1879-1892 (2012).
他112編
著書・訳書
- 「脳からみた自閉症 「障害」と「個性」のあいだ」 (ブルーバックス)
- 「心を生みだす遺伝子」(ゲアリー・マーカス著、岩波現代文庫)
- 「エッセンシャル発生生物学」(ジョナサン・スラッグ著、羊土社)
- 「脳の発生発達 神経発生学入門」(朝倉書店)
- 「なぜ理系に進む女性は少ないのか?」(西村書店)
- 「脳の誕生」 (ちくま新書)
等多数