2017年 キックオフシンポジウム : 科学的アプローチで人と脳を理解する 開催レポート
2017年6月9日、虎ノ門ヒルズフォーラムにおいて開催された、「応用脳科学コンソーシアム2017年度キックオフシンポジウム~科学的アプローチで人と脳を理解する~」は大盛況のまま無事終了いたしました。一般公開の本シンポジウムでは、遠方からも多くの方にご来場頂き、シンポジウム終了後の意見交換会も含め、のべ200人以上の方にご参加頂き、企業における脳科学の活用における関心の高さを伺うことができました。
第1部では、CAN事務局のコンサルタントより、それぞれ担当致します研究会、ワークショップ詳細等、2017年度CAN活動方針について説明いたしました。第1部の総評として、日本神経科学学会サイエンティフィックアドバイザー / 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター神経研究所 疾病研究第七部 部長の本田 学 先生にご登壇頂きました。
第2部の特別講演では、はじめに「人と脳への数理工学的アプローチ」について、東京大学 生産技術研究所 教授 / 同大学 最先端数理モデル連携研究センター長 合原 一幸 先生にご登壇頂き、ニューラルネットの歴史を数理の立場からご説明いただいたのち、現実の諸問題を対象に研究を進められている数理工学をもとに、未病状態、すなわち、健康状態から疾病状態へ遷移する時に表れる予兆についてお話いただきました。
次に「モチベーションの脳科学」をテーマに、京都大学大学院医学研究科 教授 / 日本神経科学学会 会長 伊佐 正 先生にご登壇頂き、複数の事例を挙げて頂きながらモチベーションのメカニズムのご説明と無意識下で行われている条件付や側坐核、脊髄損傷後の機能回復とモチベーションとの関わりについて、お話いただきました。
最後に「北九州フィールドコミッション事業・実証研究の展望」をテーマに、北九州産業学術推進機構 専務理事 松岡 俊和 様より、北九州地域における実証実績の例をご紹介いただくとともに、実証環境・資源・データまで含めた支援を行う実証フィールドを提供することで得られる、ビジネスモデルまで視野に入れた既存研究、資源効率性の可能性や重要性についてお話いただきました。
ホワイエで開催された意見交換会では、ご登壇頂いた合原先生、伊佐先生、応用脳科学アカデミーで講義をご担当頂いている先生方をはじめ、多くの方にご参加頂き、活発な情報交換が行われ、盛況のうちに終了となりました。
ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。心より感謝申し上げます。
開催日時
2017/06/09(金) 14:00~17:45(意見交換会 18:00~19:30)
開催場所
虎ノ門ヒルズフォーラム ホールB
(港区虎ノ門1-23-3 虎ノ門ヒルズ森タワー 4階 )
タイムテーブル | プログラム |
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14:00~15:20 | 開会の挨拶 2017年度のCAN活動方針説明 CAN全体概要、R&D研究会・ワークショップ概要、アカデミー実施概要、会員種別等 |
15:20~15:30 | 総評 本田 学 先生 (日本神経科学学会/国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター) |
15:30~15:45 | (休憩) |
15:45~16:35 | 特別講演1 人と脳への数理工学的アプローチ 合原 一幸 先生(東京大学) |
16:35~17:25 | 特別講演2 モチベーションの脳科学 伊佐 正 先生(京都大学大学院/日本神経科学学会) |
17:25~17:40 | 特別講演3 北九州フィールドコミッション事業・実証研究の展望 松岡 俊和 先生(公益財団法人 北九州産業学術推進機構) |
17:40~17:45 | 閉会の挨拶 |
18:00~19:30 | 意見交換会 |
【講演者プロフィール】
合原 一幸 先生
- 東京大学 生産技術研究所 教授
- 東京大学 大学院情報理工学系研究科 数理情報工学専攻 教授 (兼任)
- 東京大学 大学院工学系研究科 電気系工学専攻 教授 (兼任)
- 東京大学 生産技術研究所 最先端数理モデル連携研究センター長 (兼任)
- 理化学研究所 特任顧問 (兼任)
- 科学技術振興機構 研究開発戦略センター 特任フェロー (兼任)
近年の主な研究
- 2003年~2009年 JST ERATO 合原複雑数理モデルプロジェクト 研究総括
- 2010年~2014年 内閣府/JSPS FIRST 最先端数理モデルプロジェクト 中心研究者
伊佐 正 先生
京都大学大学院医学研究科 教授
日本神経科学学会 会長
近年の主な受賞歴
- 2006年 ブレインサイエンス振興財団 塚原仲晃記念賞 受賞
- 2013年 文部科学大臣表彰、科学技術分野 受賞